いつもは湯梨浜町の東郷湖のほとりから“とまどい”の映画をお届けしているジグシアターが、おとなり倉吉市のシネマエポックをお借りして「これはもうぜったいみんなに観てほしい!」という映画史に残る大傑作だけをお届けする「〇〇と映画」。

なんでも入る〇〇に、「子ども」・「ショッピングモール」・「食卓」という身近なテーマを入れて映画を上映し、上映後にはそれぞれのテーマにちなんだ最高のゲストをお迎えしてトークをお送りします。
この3本は作られた年代も国も方向性もまったく異なりながら、いずれも各ジャンルのチャンピオンと言っても差し支えない大傑作。映画が好きで好きでたまらないというあなたも、映画はよくわからないというあなたも、まずはこの3本を観てください。

普段使いのパープルタウンで、シネマエポックの大画面で、大勢でひとつの映画の世界に浸り、最高のゲストと共にじっくりと〇〇に思いを巡らせてみてはいかがでしょう。あなたと映画の出会いが新たな〇〇を生み出しますように。

 


 

2022.10.10
『動くな、死ね、甦れ!』 ヴィターリー・カネフスキー

かけねなしの傑作!永遠なる ジグからの 映画の奇跡を目撃せよ! 

日本を代表する映画評論家の蓮實重彦が「映画を見るという“ 文化的 ”な習慣とはまるで異質な、いわば“人生の選択”とでもすべき苛酷な体験である」という恐ろしくも格好よい言葉を寄せる人類文化遺産レベルの傑作。ストリートチルドレンとして少年時代を過ごし、成人して からも8年間無実の罪で投獄されていた経歴を持つヴィターリー・カネフスキー監督が、54歳にしてカンヌ国際映画祭の新人監督賞を受賞した本作は映画界に衝撃を 与えた。カネフスキーはソビエト連邦の貧しい炭鉱町を 舞台に、不安定で混乱した世界の中で生きる少年と少女の姿を鮮烈に描き出す。
このとてつもない映画を「子ども」というキーワードを道しるべにして、倉吉の豊かな自然のなかで子どもたちの育ちに向き合う得田優さんとその魅力を語り合いたい。 

[Story]
第二次世界大戦直後、収容所地帯と化したソビエトの炭鉱町 に生きる12歳の少年ワレルカ。純粋無垢だが不良ぶって たびたび騒動を起こす彼と、その前に現れては危機を救う 少女ガリーヤ。やがて運命はとんでもない方向へ 
1989年公開/105分/モノクロ/ソビエト連邦/配給 gnome

[Talk Guest]
得田優 (とくだまさる)
自然がっこう 旅をする木 石川県生まれ。広告制作、世界放浪を経て、2011年鳥取県 倉吉市に移住。2015年から自然と人、人と人とが、平和的、創造的に共存できる社会を目指して、夫婦で「自然がっこう旅をする木」を 始める。自然保育のようちえんは7年目。自由な学び舎(オルタナティブ スクール)は3年目を迎えている。子ども2人(小学3年・1年)。

 


 

2022.10.31
『ゾンビ』 ジョージ・A・ロメロ

ゾンビ映画の原点。日本中を 熱狂させたゾンビが今甦る! 

「ロメロだよ、それくらい観とけ ! 」とは『桐島、部活やめるってよ』で神木隆之介が演じた映画部部長の名セリフ。それほどジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』はある一部では有名過ぎる作品だ。いわゆるパニックホラーでありながら、泥沼化したベトナム戦争後のアメリカ消費社会への風刺も込められたゾンビ。その魅力は今も色褪せず、映画・マンガ・アニメなど様々な作品の中で増殖をつづけ、ショッピングモールもその活躍の舞台として描かれつづけている。
ゾンビ学の専門家にして日本の大学で 唯一ゾンビの授業をしている岡本健さんを招いて、 ゾンビの誕生から現代に至るまでの社会や作品の変遷について教えてもらおう。劇場でしか 観られない1979年日本公開当時の復刻版を、ハロウィンの仮装をしながらショッピングモールで観よう!

[Story]
惑星から降り注いだ光線によって地球上の死者が“ゾンビ”として復活。生ける屍たちは瞬く間に世界を覆いつくした。郊外の 巨大ショッピングモールにたどり着く主人公たち。夜明けととも に生き残るのは果たしてー。
1979年公開/115分/カラー/アメリカ・イタリア合作/配給 ザジフィルムズ

[Talk Guest]
岡本健 (おかもとたけし)
近畿大学総合社会学部 准教授 近畿大学総合社会学部准教授。専門は観光社会学、メディア・コンテンツ研究。アニメ聖地巡礼、ゾンビ、アナログゲームなど。様々な現代文化を研究している。VTube「ゾンビ先生」として『YouTubeゾンビ大学』を開講。著書に『大学で学ぶゾンビ学』 (扶桑社新書『巡礼ビジネス』KADOKAWA)などがある。

 


 

2022.11.14
『お茶漬の味』 小津安二郎

まったく古びれないどころか、今まさに見るべき映画! 

『お茶漬の味』は小津安二郎監督円熟期の傑作で、1950年初頭の東京の流行りのファッション・娯楽・乗り物・食べ物など、日常生活の彩りをモダンな輝きを持って描かれます。当時のスター俳優が演じる夫婦・友人・姪っ子たちのテンポのよいお洒落な会話は、まるで最近のポップなラブコメドラマのよう。
そして、このドラマを支えるのは小津安二郎独特のこだわり抜いた構図と配置から生み出される映像美。「小津調」と呼ばれるスタイルはいまも世界中の映画監督や映画ファンから愛され続けています。民藝作品のように味わい深いこの映画の世界を、映画館の大スクリーンで堪能しましょう。
トークには鳥取県に隣接する蒜山の高原でお米や野菜をつくり自分たちの食卓を開くようにお店を営む高谷夫妻をお招きします。食卓を囲む夫婦の姿を通して、時代に応じて変わりゆく流行と変えたくない本質について考えてみたいと思っています。解説はお馴染みの佐々木友輔さん、司会をジグシアターの柴田が務めます。

[Story]
結婚して7年ほど経つ中年夫婦は、互いの生まれ育った環境の違いもあり初めから生活態度や趣味の点でぴったりしないまま今に至る。そうした所在なさに耐えきれず友人たちと遊びまわる妻と、それにすら無関心な様子の夫。そんななか夫の海外派遣が転機をもたらす。
1952年公開/115分/モノクロ/日本/配給 松竹

[Talk Guest]
高谷裕治・絵里香(たかやゆうじ・えりか)蒜山耕藝
2011年夏に岡山県と鳥取県の県境にある蒜山・旧中和村 に移住し、米農家を営む。「食べたいものをつくる」が コンセプト。農業を営むかたわら、自分たちの食卓、作業場を開く 場と し て「くど」をオープン。2021年からは会員制の「小さな農民の会」 をスタート。
http://hiruzenkougei.com/

 

 

上映スケジュール・予約はこちら

【上映期間】

①2022年10月10日(日) 14:00ー17:15
『動くな、死ね、甦れ!』 
監督:ヴィターリー・カネフスキー
トークゲスト:得田優(倉吉「自然がっこう 旅をする木」)

②2022年10月31日(日) 14:00ー17:15
『ゾンビ』(日本初公開復刻版)
監督:ジョージ・A・ロメロ
トークゲスト:岡本健(近畿大学 総合社会学部 准教授)

③2022年11月14日(日) 14:00ー17:15
『お茶漬の味』
監督:小津安二郎
トークゲスト:高谷裕治・絵里香(岡山「蒜山耕藝」)

【料金】

3回通し券   4,500円
一般      1,800円
大学生     1,500円
シニア     1,200円
高校生     1,100円
中学生以下   1,000円

【上映時間】

『動くな、死ね、甦れ!』 
105分(1時間45分)
『ゾンビ』
115分(1時間55分)
『お茶漬の味 』
115分(1時間55分)
各回30分前に開場します