本日10/27(金)から11/6(月)までの8日間、
クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャの
2人組によるアニメーション映画『オオカミの家』と
同時上映の短編『骨』をお届けします。

東京では満席が続出するほどの人気ぶりの、
前代未聞なストップモーション・アニメーション。
初日10/27(金)は24:00からのミッドナイト上映!
ハロウィーンシーズンにぴったりのこの映画、
ぜひみなさんでお楽しみください!

 


 

現代ホラー映画界の大スター、アリ・アスター監督が絶賛したと聞いて「ぜったい怖いやつじゃん…」と身構えましたが、痛いとか血みどろとか急に恐ろしいものが飛び出してきて心臓が止まりそうになるとかそんな映画ではありません。部屋の中のすべてが有機的に変形し崩壊と再構築を繰り返すアニメーション表現は、これまでに見たどんな作品とも違う新鮮な驚きに満ちています。映画館の5.1chサラウンド用に緻密に作り込まれた音響は、あらゆる方向からあらゆる音が聞こえてきて空間の立ち現れ方にドギマギします。これだけでも十分に面白いのですが、『オオカミの家』はチリに実在したカルト・コミューン「コロニア・ディグニダ」の宣伝動画という設定で作られており、それがこの作品を深く読み込むための重要な鍵となっています。

1961年に聖職者を名乗るドイツ人パウル・シェーファーがチリ国内に築いた「コロニア・ディグニダ(=尊厳のコロニー)」は、表向きは清貧と祈りの平和なユートピアでした。しかしその実態は一人の指導者が神のように振る舞い、恐怖と暴力、拷問と薬物によって人々を支配する“秩序ある地獄“のような場所でした。すべての子どもが家族と引き離され、美少年と歌を好むパウル・シェーファーによって数百人の少年が性加害に遭い、少女たちは「豚」と呼ばれながら過酷な労働を強いられました。『オオカミの家』の主人公マリアは、そんな恐ろしいコロニーからひとりで逃れてきた少女なのです。

本作に響き渡るオオカミの囁きは、庇護のふりをした支配、甘言と脅し、グルーミングの象徴です。『オオカミの家』には、私たちのすぐ近くで起こりうる暴力や支配や洗脳に対する静かでするどい批判が含まれているのです。

ホラー好きもアート好きもドール好きも、社会派も夢想家もみんなが楽しめる不穏で不気味なダーク・ファンタジー。今年観ておきたい作品です!ぜひ一緒に戸惑いましょう。

 


 

『オオカミの家』

【OFFICIAL INTRODUCTION】
映像作家であり現代美術家でもあるクリストバル・レオンとホアキン・コシーニャの二人組が、監督・脚本・美術・撮影・アニメーションを手がけた『オオカミの家』。チリ国立美術館やサンティアゴ現代美術館のほか、オランダ、ドイツ、メキシコ、アルゼンチンなどの10カ所以上の美術館やギャラリーで実寸大の部屋のセットを組み、等身大の人形や絵画をミックスして制作する過程や途中の映像をエキシビションの一環として観客に公開。全編カメラが止まることなく、最後までワンカットで空間が変容し続けるという“異形”のストップモーション・アニメーションを5年かけて完成させた。ワールドプレミアとなった第68回ベルリン国際映画祭ではカリガリ映画賞を、第42回アヌシー国際アニメーション映画祭では審査員賞を受賞するなど世界各国で数々の賞を受賞している。

レオンとコシーニャの特異な才能の素晴らしさは、『ミッドサマー』で知られるアリ・アスターが一晩に何度も鑑賞し、自ら二人にコンタクトをとったというエピソードからも伝わるだろう。彼らと意気投合したアスターは、今回同時上映となる短編『骨』の製作総指揮に名乗りを上げ、さらに自身の最新作『Beau is Afraid』内の12分にも及ぶというアニメ・パートも彼らに依頼した。ほかに、トム・ヨークの新バンドThe SmileやPJ ハーヴェイのミュージックビデオを監督したことも話題に。2021年には、アメリカのゲーム・エンタメ情報サイト「IGN」の歴代アニメーション映画ベスト10に選出。同年Varietyの「観るべき10人のアニメーター」にも選出されている。

【STORY】
美しい山々に囲まれたチリ南部のドイツ人集落。“助け合って幸せに”をモットーとするその集落に、動物が大好きなマリアという美しい娘が暮らしていた。ある日、ブタを逃がしてしまったマリアは、きびしい罰に耐えられず集落から脱走してしまう。逃げ込んだ一軒家で出会った2匹の子ブタに「ペドロ」「アナ」と名付け、世話をすることにしたマリア。だが、安心したのも束の間、森の奥から彼女を探すオオカミの声が聞こえはじめる。 怯えるマリアに呼応するように、子ブタは恐ろしい姿に形を変え、家は悪夢のような禍々しい世界と化していく……。

 

監督:クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ
脚本:クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ、アレハンドラ・モファット
声:アマリア・カッサイ、ライナー・クラウゼ
2018年/チリ/スペイン語・ドイツ語/74分/カラー/1.50:1/ 5.1ch/

字幕翻訳:草刈かおり/英題:The Wolf House
© Diluvio & Globo Rojo Films, 2018

 


 

『骨』(同時上映の短編作品)

【OFFICIAL INTRODUCTION】
「ミッドサマー」のアリ・アスターが製作総指揮を行い、クリストバル・レオン&ホアキン・コシーニャが2021年に発表した短編最新作。「第78回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門で最優秀短編映画賞、ひろしまアニメーションシーズン2022の環太平洋・アジアコンペティションで最優秀賞を受賞した。

【STORY】
2021年、新憲法草案の議論が進むチリで、ある映像が発掘された。それは、少女が人間の死体を使って謎の儀式を行っているもので……。1901年に制作された世界初のストップモーション・アニメーション(という設定)。

 

監督:クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ
エグゼクティブ・プロデューサー:アリ・アスター
音楽:ティム・フェイン
2021年/チリ/スペイン語/14分/モノクロ/スタンダード/ステレオ/

字幕翻訳:草刈かおり/英題:The Bones
© Pista B & Diluvio, 2023

 

上映スケジュール・予約はこちら

【上映期間】

10/27(金).28(土).29(日).31(火)
11/3(金・祝).4(土).5(日).6(月)
の8日間上映いたします。
上映時刻はスケジュールをご確認ください。

【料金】

一般・シニア   1,800円
25歳以下     1,300円
18歳以下      500円
早期夜割     1,300円
同作品リピート割 1,000円
福祉手帳割(同伴者1名まで割引適用)1,000円

【上映時間】

『骨』14分

『オオカミの家』74分
合計88分
(1時間28分)

【公式サイト】

http://www.zaziefilms.com/lacasalobo/