ギヨーム・ブラック監督の最新作の上映に合わせて、「ギヨーム・ブラック特集上映」を行います。

2009年にキャリアの最初に製作された短篇『遭難者』、その続きとして2011年に製作され劇場デビューを飾った中篇『女っ気なし』、そして2013年長篇第一作として製作されロカルノ国際映画祭でも称賛された『やさしい人』の３作品を、まとてめ上映します。

監督単位で映画を観るという切り口があります。ある監督の作品を観て気にいったり、あるいはどこかモヤモヤする部分があって、そんな時に同じ監督の過去作を観てみると、「あっ！」と発見したり「おお〜」とほんのり納得することがあります。基本的に、映画監督がひとつの作品で描くテーマはその作品の中で一応は完結しています。ですが、別の作品で少し違った顔をして現れたりもしています。

例えば、よく行くパン屋さんの店員さんとレジでひとことふたこと程度は話をするようになったとします。ある休日に子どもと一緒に近所の公園に行くと、パン屋の店員さんも子どもと一緒に遊びに来ていました。「あ、どうも！」と声をかけるかかけないかはあなた次第ですが、ふだん見ていたパン屋の店員さんの別の顔がそこにあるはず。いつもと違う服装で子どもと遊ぶ姿を見て、その店員さんの立ち振る舞いに、「あっ！」と思ったり、「おお〜」と納得することがあるでしょう。それはわざわざ誰かに話すような大きな発見ではないかもしれません。でも、再びあなたがよく行くパン屋でその店員さんと接する時に、別の感触を抱くはず。なんだかちょっとだけ得したような。

ギヨーム・ブラック特集上映はそんなものだ思っていただくといいのかもしれません。まずは最新作の『みんなのヴァカンス』を観に来てほしい。そして、気にいってもらえたら、ぜひほかの作品も観てください。夏のおわりにギヨーム・ブラックの魅力を一緒に楽しめたらうれしいです。

『遭難者』Le Naufragé

［Story］
フランス北部の町オルトで、自転車がパンクしたリュック。それを見た地元の青年シルヴァン。シルヴァンはリュックを助けようとするが……。

監督：ギヨーム・ブラック／撮影：トム・アラリ／出演：ジュリアン・リュカ、ヴァンサン・マケーニュ、アデライード・ルルー 2009年 / フランス / フランス語 / カラー / 25分 / 1.85：1 / 5.1ch / DCP / 原題：Le Naufragé / 日本語字幕：高部義之 / 配給：エタンチェ © Année Zéro – Kazak Productions

『女っ気なし』Un monde sans femmes

［Story］
フランス北部の小さな町オルト。夏の終わり、地元の青年シルヴァンが管理するアパートを、ヴァカンスに来た母娘が訪れる。明るくて奔放な母と少し内気な娘。3人は海水浴や買い物をして仲良く過ごしていたが、やがてヴァカンスの終わりが近づき……。

監督：ギヨーム・ブラック／撮影：トム・アラリ／出演：ヴァンサン・マケーニュ、ロール・カラミー、コンスタンス・ルソー、ロラン・パポ 2011年 / フランス / フランス語 / カラー / 58分 / 1.85：1 / 5.1ch / DCP / 原題：Un monde sans femmes 日本語字幕：マイアットかおり / 配給：エタンチェ © Année Zéro – Nonon Films – Emmanuelle Michaka

『やさしい人』Tonnerre

［Story］
フランス・ブルゴーニュ地方、まもなく冬を迎える静かな町トネール。少しだけ名の知れたミュージシャンのマクシムは、殺伐としたパリの生活から逃れ、実家に戻ってくる。しかし父親とは、どこかぎこちない雰囲気。そんな中、マクシムは心の隙間を埋める若い女性と出会う。ワイン工場に行ったり、スキーをしたり、互いに心を通わせる二人。このまま幸せがつづくと思ったが、突然、彼女はマクシムの前から姿を消す……。

監督：ギヨーム・ブラック／撮影：トム・アラリ／主演：ヴァンサン・マケーニュ、ソレーヌ・リゴ、ベルナール・メネズ 2013年 / フランス / フランス語 / カラー / 100分 / 1.85：1 / 5.1ch / DCP / 原題：Tonnerre / 日本語字幕：高部義之 配給：エタンチェ © 2013 RECTANGLE PRODUCTIONS – WILD BUNCH – FRANCE 3 CINEMA