ビクトル・エリセ 3つの映画と1つの講座

ジグシアターの3周年はビクトル・エリセ監督の3つの映画をお届けします。 寡作で知られるエリセの長編劇映画は、半世紀近いキャリアにおいてわずか3作。 『ミツバチのささやき』(1973)と『エル・スール』(1983)は不朽の名作として知られ、世界中の映画好きたちの人生ベストに選ばれるほど愛されてきました。そして 31年の時を経て『瞳をとじて』が加わります。エリセの映画には何度観ても汲み 尽くせない謎があり、逆にこんなものを見てしまって良いのかと思うほどの顔や 眼差しが映っている。なんという映画の魔力か。ジグシアターがこれまでの3年で 観客と共にしてきた数々の“戸惑い”も、映画の魔力のひとつと言えるでしょう。 今回の上映期間の真ん中には、濱口竜介監督によるレクチャーを行います。 エリセが映画の制作とともに批評を行ってきたように、濱口監督もまた批評や 講座を重ね、この7月には初の映画論集『他なる映画と 1・2』が刊行されます。濱口監督の批評はその映画に比肩するほど素晴らしく、本人も「映画を撮るくらいの本気で書いている」と話すほど。レクチャーの題名は−「見つめる」 ということ−。ふたつの映画を見つめ、映画についての話を聞き、またひとつの映画を見つめる。映画の魔力に触れて、その秘密にも触れようと目と耳を澄ます特別な時間を、3年目のこの時にご一緒できるとうれしいです。

 


 

瞳をとじて
Cerrar los ojos

映画『別れのまなざし』の撮影中、主演俳優フリオ・アレナスが失踪した。それから22年、当時の映画監督でありフリオの親友でもあったミゲルは かつての人気俳優失踪事件の謎を追うTV番組から証言者として出演 依頼を受ける。取材協力するミゲルだったが次第にフリオと過ごした青春 時代を、そして自らの半生を追想していく。そして番組終了後、一通の思わぬ情報が寄せられた。「フリオによく似た男が海辺の施設にいる」――。

監督・脚本:ビクトル・エリセ 出演:マノロ・ソロ、ホセ・コロナド、アナ・トレント 2023年|スペイン|169分|カラー|ビスタ|4K 5.1chデジタル|字幕翻訳:原田りえ

© 2023 La Mirada del Adiós A.I.E, Tandem Films S.L., Nautilus Films S.L., Pecado Films S.L., Pampa Films S.A.

 


 

ミツバチのささやき
El espíritu de la colmena

6歳の少女アナはフランコ独占政権下のスペインの小さな村に父、母、姉と暮らしていた。ある日、巡回上映で観た『フランケンシュタイン』に魅せられて、呼びかければ出てきてくれる精霊の存在を信じ、探し始める。姉が見つけた廃屋に精霊の存在を感じて通う日々の中、逃亡中の内戦の兵士に出会い、食べ物や着るものを運ぶのだったが・・・。ビクトル・エリセ監督の記念すべき繊細なデビュー作。

監督:ビクトル・エリセ | 脚本:ビクトル・エリセ、アンヘル・フェルナンデス=サントス 撮影:ルイス・クアドラド |音楽:ルイス・デ・パブロ| 出演:アナ・トレント、 イザベル・テリェリア、フェルナンド・フェルナン・ゴメス、テレサ・ジンベラ 1973年|スペイン|99分|カラー|提供:アイ・ヴィー・シー 配給:ギャガ、アイ・ヴィー・シー| ©2005 Video Mercury Films S.A.

 


 

エル・スール
El sur

8歳のエストレリャは生まれ故郷のアンダルシアを捨てて生きる父親を慕っていた。振り子を使って水脈を見つける父は青春を過ごした南=エル・スールを離れて暮らしながら何を想っていたのか。少女が知ることのなかった一面を垣間見るころ、彼は突然、家を出ていってしまった。15歳に成長したエストレリャは記憶のなかの父の姿を回想する・・・。 『ミツバチのささやき』から10年後の第2作。

監督・脚本:ビクトル・エリセ| 原作:アデライーダ・ガルシア・モラレ 撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ| 音楽:エンリケ・グラナドス| 出演:オメロ・アントヌッティ、 ソンソレス・アラングーレン、イシアル・ボジャイン、オーロール・クレマン 1983年|スペイン・フランス|95分|カラー|提供:アイ・ヴィー・シー 配給:ギャガ、アイ・ヴィー・シー | ©2005 Video Mercury Films S.A.

 


 

 

 

 

 

7/14(日)濱口竜介監督によるレクチャー開催決定!!
※満席につき予約を締切ました

濱口竜介監督による『ミツバチのささやき』と『エル・スール』についてのレクチャー。最新作『悪は存在しない』のインタビューでも『ミツバチのささやき』の影響を明かし、度々エリセ監督への敬愛を語ってきた 濱口監督がこの2作品をどのように語るのか。7月に刊行される濱口 監督の初映画論集『他なる映画と 1・2』の番外編としても、続いて 8月から上映する『瞳をとじて』への助走としてもお楽しみください。

【レクチャー概要】
■日時:7月14日(日) 19:00~20:30(18:30開場)
■場所:jig theater
■登壇者: 濱口竜介監督
■料金:2,000円
■定員:80名

上映スケジュール・予約はこちら

【上映期間】

『ミツバチのささやき』『エル・スール』
6/29(土)、30(日)、7/3(水)、6(土)、7(日)、8(月)、13(土)、14(日)、15(月)の9日間

濱口竜介監督レクチャー
7/14(日)19:00ー20:30(18:30開場)
ご好評につき満席のため予約を締め切りました

『瞳をとじて』
8/24(土)、25(日)、28(水)、31(土)、9/1(日)、2(月)の6日間

【料金】

一般・シニア   1,800円
25歳以下      1,300円
18歳以下      500円
早期夜割     1,300円
同作品リピート割 1,000円
福祉手帳割(介助者1名まで割引適用)1,000円

★『ミツバチのささやき』『エル・スール』は「一般・シニア1,600円」の特別料金でご鑑賞いただけます

【上映時間】

『ミツバチのささやき』
99分(1時間39分)
『エル・スール』
95分(1時間35分)
『瞳をとじて』
169分(2時間49分)

上映期間

【公式サイト】
『ミツバチのささやき』『エル・スール』
https://gaga.ne.jp/Victorerice/theater
『瞳をとじて』
https://gaga.ne.jp/close-your-eyes/