待望のケリー・ライカート監督の劇場公開最新作!
2021年の特集上映でライカート作品に深く惹かれた人も多いはず
山陰の風景や静けさによく似合う、
甘くて美しくちょっと危険な物語をお届けします

 


 

ここに一冊の写真集があるとします。森の風景と人物、鳥や動物たち、素朴な道具と暮らしについ見惚れてしまう。丁寧に一枚一枚を眺めながらゆっくりとページをめくる。森のざわめきや鳥の囁き、川のせせらぎが聴こえてきて、人間の手仕事の温度と息遣いを感じながら、穏やかな気持ちでそっと本を閉じる。『ファースト・カウ』を観てまず浮かんだのはそんな感触です。

物語の舞台は1820年のオレゴン州、アメリカ西部開拓の始まりの時代。写真の発明以前ですが、わずかに残されたメモやスケッチが当時の情景を伝えています。彼らと同じように大地に腰を下ろして土の匂いを思えば、そこで交わされた友情や野心すら感じることができるかもしれない。
森から取り出した材料で、建物ができ、道具ができ、身につける衣服ができる。初めてその地にやってきた牛の乳からドーナツがつくられる。そして物語がゆっくりと動き出す。暗闇の中で。

ケリー・ライカートが描くのは、彼女が映画にしなければどこにも残されないようなささやかな出来事であり関係です。だけれど、誰しもの胸の片隅にそっと大事に置いてある忘れたくない記憶のようでもあります。
200年も前の友情の物語。森のざわめきにまぎれてしまいそうなかすかなものが、確かに存在するのだと想像すること。諍いや対立の続く世界に生きる私たちにできる、唯一で最大のことかもしれません。

 


 

[Official introduction]
現代アメリカ映画の最重要作家と評され、今世界中で最も高い評価を受けている監督のひとりであるケリー・ライカート監督。日本で彼女の作品を観られる機会は限られていたが、2021年に監督特集上映が行われると、その作品性の高さから異例の満席回が続出し、大きな話題となった。そんな映画ファンが愛してやまないケリー・ライカート監督の作品がついに、日本の劇場初公開!本作『ファースト・カウ』は、世界の映画祭でお披露目されると、たちまち絶賛の声が上がり、第70回ベルリン国際映画祭金熊賞にノミネートされたほか、世界中の映画祭で計157部門にノミネート、27部門を受賞している。

[Story]
物語の舞台は西部開拓時代のオレゴン州。アメリカン・ドリームを求めて未開の地にやってきた料理人のクッキーと、中国人移民のキング・ルー。共に成功を夢見る2人は自然と意気投合し、やがてある大胆な計画を思いつく。それは、この地に初めてやってきた富の象徴であるたった一頭の牛からミルクを盗み、ドーナツで一攫千金を狙うという、甘い甘いビジネスだった

[Recommend comment]
『ファースト・カウ』は、
私には決して真似のできないものであって、
とてつもなく、うらやましい。
- ポン・ジュノ 『パラサイト 半地下の家族』

静かで気取らないストーリーテリングの、 真の傑作
- ジム・ジャームッシュ 『パターソン』

これほど誇らしく、 これほど価値のあるものはない。
- トッド・ヘインズ 『キャロル』


 

監督/脚本: ケリー・ライカート Kelly Reichardt
1964年アメリカ・フロリダ州出身。幼い頃から写真に興味を持ち、捜査官である父が犯罪現場を撮影するために使用していたカメラを使い始める。マサチューセッツ州ボストンにあるSchool of the Museum of Fine Artsに入学し、博士号を取得。その後、ニューヨークに移り、映画の美術を担当。ハル・ハートリー監督『アンビリーバブル・トゥルース』(89)、トッド・ヘインズ監督『ポイズン』(91)では美術のほか一部、出演もしている。1994年『リバー・オブ・グラス』で長編監督デビュー。デビュー作ながらサンダンス映画祭で絶賛され、インディペンデント・スピリット賞では監督賞はじめ4つの賞にノミネートされた。 その後に発表した長編映画『オールド・ジョイ』(06)、『ウェンディ&ルーシー』(08)、『ミークス・カットオフ』(10)、『ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画』(13)、『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』(16)は、いずれも世界中の映画祭や批評家の間で高い評価を受けており、最新作『ショーイング・アップ』(22) は、第75回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品された。

脚本: ジョナサン・レイモンド Jonathan Raymond
1971年、アメリカ・カリフォルニア州出身。作家、脚本家。『ファースト・カウ』の原作となる小説『The Half-Life』を執筆し、ほかにも小説『Rain Dragon』、『Freebird』などを発表。物語集『Livability』では、オレゴン・ブック・アワードを受賞した。脚本家としても活動し、ケイト・ウィンスレット主演のTVシリーズ「ミルドレッド・ピアース 幸せの代償」では、トッド・ヘインズと共同脚本を務めた。これまでにケリー・ライカート監督作品の脚本を多く手がけており、本作が5度目のタッグとなる。

音楽: ウィリアム・タイラー William Tyler
1979年、アメリカ・テネシー州、ナッシュビル出身。ロサンゼルスとナッシュビルを拠点に活動するギタリスト兼作曲家。彼の3枚目のアルバム『モダン・カントリー』はローリング・ストーン誌から「2016年のベスト・カントリー・アルバム」として評価された。『ファースト・カウ』は彼が手がけた初の長編映画音楽になる。

 

監督・脚本: ケリー・ライカート
脚本:ジョナサン・レイモンド
出演:ジョン・マガロ、オリオン・リー、トビー・ジョーンズ
配給:東京テアトル、ロングライド
2019/アメリカ/英語/カラー/ 5.1ch/原題:First Cow

 

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【上映期間】

1/27(土)、1/28(日)、1/29(月)、 2/3(土)、2/4(日)、2/9(金)、2/10(土)、2/11(日)、2/12(月・祝)

【料金】

一般・シニア   1,800円
25歳以下      1,300円
18歳以下      500円
早期夜割     1,300円
同作品リピート割 1,000円
福祉手帳割(同伴者1名まで割引適用)1,000円

【上映時間】

122分(2時間2分)

【公式サイト】

http://firstcow.jp/

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