ジグシアターの上映第3弾は、アメリカのドキュメンタリー・シーンを牽引する巨匠、フレデリック・ワイズマンの新作『ボストン市庁舎』を上映します。

ジグシアターには「新作が出たら必ずかけたい」と思っている映画監督が数人いて、フレデリック・ワイズマンはその一人です。1967年の1作目から45作目の本作にいたるまで、ナレーション・インタビュー・追加の音楽などなしに、そこで起きた出来事を丹念にカメラに収め、美しくも見事な編集によって、私たちとその世界とを出会わせてくれるワイズマンの作品。彼は映画の力を、観客の力を徹底的に信じているように思います。

4時間34分という長大な上映時間にひるむことなかれ。私たちが知る<お役所仕事>という言葉からは想像もできない、驚きとユーモアと問題提起に満ちた場面の数々。そこに映し出される、顔、顔、顔、言葉、振る舞い、建物、街の姿を眺めているだけでちっとも退屈しないし、笑ったり首を傾げたり想いを馳せたりしていたらあっという間にエンドロールがやってきて、心と身体には確かな充足感が積もっている。

この不思議な充足感はどこから来るのだろう。この映画には、多様な個人が社会という形で結びつき、つまづき、ほどけては、また道を探そうとする人々が映される。努力と成果を重ねながらも、いまだ不足も失敗も迷いも尽きない。それでも希望を見つけたい。そういう顔が映っている。

ジグシアターでの上映時、私たちは10月末の大きな選挙を終えています。私たちは私たちの選択をこれから生きていくことになる。「人々がともに幸せに暮らしてゆくために、なぜ行政が必要なのか」とワイズマンが問うその先に、私たちに必要なものも見えてくるのではないだろうか。11月の終わりと12月の初め、ジグシアターでお待ちしています。

 


 

[Official introduction]

『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』で知られるドキュメンタリー界の⽣ける伝説、フレデリック・ワイズマン監督。その新作の舞台は、⽶マサチューセッツ州の”ボストン市庁舎”。多様な⼈種・⽂化が共存する⼤都市ボストンは、ワイズマンが⽣まれ、現在も暮らす街でもある。カメラは飄々と市庁舎の中へ⼊り込み、市役所の⼈々とともに街のあちこちへと興味のままに動き出す。そこに映し出されるのは、警察、消防、保険衛⽣、⾼齢者⽀援、出⽣、結婚、死亡記録、ホームレスの⼈々の⽀援から同性婚の承認まで数百種類ものサービスを提供する、知られざる市役所の仕事の舞台裏。市⺠の幸せのため奮闘するウォルシュ市⻑と市役所職員たちの姿から浮かび上がってくるものとはーー。

 

監督・製作・編集・録音:フレデリック・ワイズマン
2020年/アメリカ/英語/274分/カラー/1.78:1/モノラル
原題:City Hall
字幕:齋藤敦子
後援:アメリカ大使館
配給:ミモザフィルムズ、ムヴィオラ
© 2020 Puritan Films, LLC – All Rights Reserved[official introduction]

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【上映期間】

2021年11月25日(木)〜12月5日(日)
※月火水休み

【料金】

一般        2,800円
シニア(65歳以上) 2,500円
学生(学生証)   2,500円
福祉(障害者手帳) 2,000円
役所割       2,200円
(全国の映画館共通の特別料金です)

【上映時間】

本編274分(4時間34分)
・前半133分(2時間13分)
・後半141分(2時間21分)
途中休憩を挟みます
開始・休憩時刻は下記の表をご覧ください
各回30分前に開場します

【公式サイト】

https://cityhall-movie.com/