明日1/24(土)から2/2(月)まで、レオス・カラックス監督の『ポンヌフの恋人』を上映します。今なお鮮烈な光を放ち続ける伝説の映画を、ぜひスクリーンで目撃してください。

『ポンヌフの恋人』を観ると、「若さ」あるいは「ガキ」という言葉が浮かんでくる。
語るほどの過去を持たないまま、身体だけが先に世界へと放り出されたような人物たち。説明も回想も与えられず、感情を言葉にする術もなく、恋するドキドキさえも置き去りにして、走り、叫び、踊り、抱き合う。全速力で。
しかもこの映画は、最初からきれいなフィクションとして始まらない。冒頭に置かれるホームレス施設の場面は、ドキュメンタリーのような手触りで撮られている。演技ではない身体、匂い、ロマンではなく、むき出しの現実。最初から曖昧に混ざり合っている。『ポンヌフの恋人』の若さは、その不安定な地面の上に、いきなり立たされる。
スクリーンを見つめながら、何度「これはすごい!」と思ったことだろう。これほどのアクションをよくぞ、という驚きの連続。映像も音楽も、とにかくずっとかっこいい。いや、正確に言えば、全力で「かっこつけている」。当時、監督のレオス・カラックス、主演のドニ・ラヴァンとジュリエット・ビノシュは、全員まだ20代だった。
橋と周辺を再現した巨大なセット、膨れ上がった制作費、途中で潰れたプロダクション。「呪われた映画」と噂されるほど、撮影は難航したらしい。けれど、並外れた無茶を通してでも、かっこつけきったからこそ『ポンヌフの恋人』はできあがった。パンクに見えて、周到な準備と技術、圧倒的な覚悟と執念がなくては、このイメージをフィルムに焼き付けることは不可能だ。
だからこれは「若さ」の映画だけれど、幼さや未熟さの映画ではない。彼らが命を賭して踏み込んだ痕跡であり、燃やした炎であり、パッションそのものだ。ただ目の前の相手と、この瞬間を焼きつけたい、焼きつけてほしい、と。これこそが映画なのだ、と。
真冬の山陰の雪景色のなか、スクリーンの中で燃え続けるその炎を、ぜひあなたの目にも焼きつけてほしい。

 

[Official introduction]
唯一無二の監督レオス・カラックスの最高傑作とされる『ポンヌフの恋人』。
撮影の度重なる中断、その度に膨れ上がった製作費、フランス映画史上最大のオープンセット、そしてシネマライズ渋谷で27週のロングランを記録する熱狂を巻き起こした1992年の日本公開。映画にまつわる全てのエピソードが伝説として語られる本作が、撮影監督キャロリーヌ・シャンプティエの監修によって美しく4Kで修復され、劇場公開が決定した。

『ポンヌフの恋人』はホームレスの孤独と恋を1カット1カット衝撃的なまでの映像と音で叩きつける強烈なインパクトの恋愛映画。絵画に喩えるなら、美しい風景画ではなくエゴン・シーレの歪んだ人物像やジャクソン・ポロックの抽象絵画のような非凡なスタイルで描かれた「激情」の物語だ。
天涯孤独で不眠症の大道芸人アレックス(ドニ・ラヴァン)と失恋の痛手と眼の奇病による失明の危機で家出した画学生ミシェル(ジュリエット・ビノシュ)。ホームレスとなった二人は、パリの最も古い橋ポンヌフで出会う。愛を告白できないアレックス、過去の初恋に生きるミシェル。カラックスが見つめる二人の感情の軌跡は、失意と闇からはじまり、息もつかせぬスビードで希望と生命へと疾走し、回転していく…!

本4Kレストア版はカラックスの協力のもとオリジナル35mmネガからデジタルレストアし、撮影監督キャロリーヌ・シャンプティエが修復と色彩補正を監修、トマ・ゴデールが音響を担当した。

 

[Story]
パリで最も古く美しい橋・ポンヌフで暮らす大道芸人のアレックスは、ある日、失恋の痛手と治る見込みのない目の病に苦しみ放浪する画学生ミシェルと出会う。やがて2人はポンヌフで共に暮らし始め、孤独な日々の中で絆を深めていく。ジュリアンというチェリストへの恋の未練と、画家としての失明への恐怖を抱えるミシェル。そして、他人とのつながりを知らずに生きてきたアレックス。2人の間には、次第に絆と愛が芽生えていく。しかし、ミシェルはやがて両親が自分を捜していること、そして眼病の治療法が見つかったことを知り……。

 

監督・脚本:レオス・カラックス
撮影:ジャン=イヴ・エスコフィエ
出演:ジュリエット・ビノシュ、ドニ・ラヴァン
1991年/フランス映画/カラー/125分/DCP/配給:ユーロスペース

上映スケジュール・予約はこちら

【上映期間】

1/24(土)、25(日)、26(月)、28(水)、31(土)、2/1(日)、2(月)の8日間

【料金】

一般・シニア   1,800円
25歳以下      1,300円
18歳以下      500円
同作品リピート割 1,000円
福祉手帳割(介助者1名まで割引適用)1,000円

【上映時間】

125分(2時間5分)