例えば、これまで知ったつもりでいたとある人物の、別の側面に触れる機会が不意に訪れる。あ、この人ってこんな人だったんだ、と。思った次の瞬間、自分が泣いていることに気づく。『夜明けのすべて』という映画を見て思うのはそんな時間。とある人物というのは、友人だったり恋人だったり家族だったり、案外単なる同僚だったり近所の人だったり飼っている猫や犬や鳥だったり、日々通り過ぎる風景や季節の流れだったりもする。
『夜明けのすべて』は、映画をたくさん観てきたという人にも映画館に行くのが初めてという人にもみんなに楽しんでもらえる作品です。それは三宅唱監督がこれまで観たたくさんの映画をふまえつつ、まるで初めて映画に出会うように撮っているからなのかもしれません。三宅監督の仕事の凄みは(あえて仕事と言わせてもらうと)、そうした新鮮な驚きと楽しみを、たくさんのキャストやスタッフと共にしているところにあるように思います。映画作りの技術や知識だけではなく、丁寧に調べて愚直に準備をして、嘘や誤魔化しが少しでもなくなるように、思いを巡らせてそっと手を添えるような、そんなことの末に『夜明けのすべて』があるように感じます。
すべてに思いを巡らせることはできないし、宇宙の真っ暗闇に放り出されたような気持ちになるような夜もあるけれど、願わくば『夜明けのすべて』に映るような、知っているようで知らなかった誰かのことをちゃんと想像したり、想像もできない遠さがあると感じながら、ほのかな光の存在に気づくことができますように。
4/14(日)トークイベント開催決定!!
『夜明けのすべて』監督の三宅唱さんと、編集の大川景子さんをjig theaterにお招きしてトークイベントを開催することが決定しました!
昨年『ケイコ 目を澄ませて』と「三宅唱監督特集上映」の際に三宅監督にトークでお越しいただき、その楽しくて誠実で思慮深い人柄に触れて三宅監督のことをめちゃくちゃ好きになった人も多いはず!今回は三宅監督からの発案で、近年の三宅映画の編集を支える大川景子さんにもお越しいただき、『夜明けのすべて』という作品がどのように形になっていったのかをじっくりとお聞きしたいと思います。当日は観客から質問を募集してQ&Aも行う予定です。
また、三宅監督の舞台挨拶付きの『夜明けのすべて』の上映も行います。この素晴らしい機会をどうかお見逃しなく!
【トークイベント概要】
■日時:4月14日(日)13:30~15:30(13:00開場)
■場所:jig theater
■登壇者:三宅唱さん(監督)、大川景子さん(編集)
■料金:2,000円
※上映付きではなく、トークイベントのみの実施です
【三宅唱監督舞台挨拶付き上映概要】
■日時:
4/13(土)20:30〜の回の上映後
4/14(日)9:50〜の回の上映後
4/14(日)17:00〜の回の上映前
■料金:チケット代に含まれます
一般・シニア 1,800円
25歳以下 1,300円
18歳以下 500円
当館での同作品リピート割 1,000円
福祉手帳割(同伴者1名まで割引適用)1,000円
《チケット予約》
トークイベント/舞台挨拶付き上映、ともにジグシアターのWEBサイトよりご予約くださいhttps://jigtheater.com
3月26日(火)18:00より
[Official introduction]
「そして、バトンは渡された」で2019年本屋大賞を受賞した瀬尾まいこの原作小説を、『ケイコ 目を澄ませて』が、第72回ベルリン国際映画祭ほか20以上の映画祭に出品、毎日映画コンクール日本映画大賞で日本映画優秀賞・監督賞を受賞するなど、国内外で絶賛を浴びた三宅唱監督が映画化。原作にオリジナルの要素を加え、二人が交流し少しずつお互いの殻を溶かし合っていく姿を、彼らの見つめる日常の美しさや季節の移ろいとともに捉えた。W主演を務めるのは、NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で夫婦役を演じた松村北斗と上白石萌音。映画としては初共演となる二人が、今回は同僚役で最高の理解者となる特別な関係性を演じる。人生の様々な瞬間に、何度も思い出してしまうような大切な一本になる、令和時代の新たな傑作が誕生した。
[Story]
「出会うことができて、よかった」
人生は想像以上に大変だけど、光だってある―
月に一度、PMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなる藤沢さんはある日、同僚・山添くんのある小さな行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。だが、転職してきたばかりにもかかわらず、やる気が無さそうに見えていた山添くんもまたパニック障害を抱えていて、様々なことをあきらめて、生きがいも気力も失っていたのだった。職場の人たちの理解に支えられながら、友達でも恋人でもないけれど、どこか同志のような特別な気持ちが芽生えていく二人。いつしか、自分の症状は改善されなくても、相手を助けることはできるのではないかと思うようになる。
出演:松村北斗 上白石萌音
渋川 清彦 芋生悠 藤間爽子 久保田磨希 足立智充 りょう 光石研
原作:瀬尾まいこ『夜明けのすべて』(水鈴社/文春文庫 刊)
監督:三宅唱
脚本:和田清人 三宅唱
音楽:Hi’Spec ※すべて半角にて表記。HiとSpecの間に半角アケなし
製作:『夜明けのすべて』製作委員会
企画・制作:ホリプロ
制作プロダクション:ザフール
配給:バンダイナムコフィルムワークス=アスミック・エース
©瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会
【上映期間】
4/13(土)、14(日)、15(月)、20(土)、21(日)、24(水)、27(土)、28(日)の8日間
【料金】
一般・シニア 1,800円
25歳以下 1,300円
18歳以下 500円
早期夜割 1,300円
同作品リピート割 1,000円
福祉手帳割(同伴者1名まで割引適用)1,000円
【上映時間】
119分 (1時間59分)
【公式サイト】
https://yoakenosubete-movie.asmik-ace.co.jp