突然の監督引退宣言から6年。
最高のラブストーリーとともに、アキ・カウリスマキが帰ってきた!

冬のおわりの気配を感じる今日この頃、今回上映するのは北欧フィンランドから届いた『枯れ葉』です。
世界中の映画ファンに愛されている巨匠アキ・カウリスマキ監督が、引退宣言を撤回してまで撮ったのはドがつくほど直球のラブストーリー。ごくごくシンプルで、もはや無愛想ですらありつつも、その背景には悲痛な戦禍へのささやかでしたたかな抵抗が滲みます。
突然の風に吹き飛ばされるほどに軽い私たちの幸福だけれど、移ろう季節の色彩と情緒をそのつど確かに感じていくことはできる。

不器用で、もどかしく、馬鹿馬鹿しい世界のすべてを、独特のユーモアでもって、悲哀をこめて、愛していく。哀愁漂うさまざまな音楽と共に。生きることはかくも美しい。そんな映画をお届けします。

 

[Official introduction]
ノスタルジックな風景と多様な音楽、とぼけたユーモア、溢れ出る映画愛。
悲痛な現実のなかで、それでも「愛」を信じつづけるために。
労働者 3 部作『パラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』『マッチ工場の少女』に連なる新たな物語として発表された『枯れ葉』には、ギリギリの生活を送りながらも、生きる喜びと人間としての誇りを失わずにいる労働者たちの日常が描かれる。抑制された画面の中に映るノスタルジックなヘルシンキの風景、バンド演奏からカラオケまで自由自在な音楽の使い方、随所に散りばめられたとぼけたユーモア。また劇中には、主人公たちが初めてのデートで見に行く映画として、盟友ジム・ジャームッシュの『デッド・ドント・ダイ』が大胆に引用され、ゴダールやブレッソンの名前も登場。画面から溢れでる映画愛に、誰もがにやりと笑ってしまうはず。一方で、登場人物たちの横ではつねにロシアによるウクライナ侵攻のニュースが流れ、いま、私たちが生きる悲痛な現実を映し出そうとする意志が感じられる。カウリスマキ映画のなかでもかつてないほどまっすぐな愛の物語となった本作は、戦争や暴力がはびこる世の中で、それでもたったひとつの愛を信じつづける恋人たちの姿を通して、今を生きる希望を与えてくれる。

 

[Story]
ヘルシンキの街で、アンサは理不尽な理由から仕事を失い、ホラッパは酒に溺れながらもどうにか工事現場で働いている。ある夜、ふたりはカラオケバーで出会い、互いの名前も知らないまま惹かれ合う。だが、不運な偶然と現実の過酷さが、彼らをささやかな幸福から遠ざける。果たしてふたりは、無事に再会を果たし想いを通じ合わせることができるのか?

 

[Director’s comment]
取るに足らないバイオレンス映画を作っては自分の評価を怪しくしてきた私ですが、無意味でバカげた犯罪である戦争の全てに嫌気がさして、ついに人類に未来をもたらすかもしれないテーマ、すなわち愛を求める心、連帯、希望、そして他人や自然といった全ての生きるものと死んだものへの敬意、そんなことを物語として描くことにしました。それこそが語るに足るものだという前提で。この映画では、我が家の神様、ブレッソン、小津、チャップリンへ、私のいささか小さな帽子
を脱いでささやかな敬意を捧げてみました。しかしそれが無残にも失敗したのは全てが私の責任です。
アキ・カウリスマキ

 



題名:『枯れ葉』
監督・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:アルマ・ポウスティ、ユッシ・ヴァタネン、ヤンネ・フーティアイネン、ヌップ・コイヴ

2023年/フィンランド・ドイツ/81分/1.85:1/
ドルビー・デジタル5.1ch/DCP フィンランド語/
原題『KUOLLEET LEHDET』/英語題『FALLEN LEAVES』
配給:ユーロスペース 提供:ユーロスペース、キングレコード

上映スケジュール・予約はこちら

【上映期間】

3/2(土)、3(日)、6(水)、8(金)、9(土)、10(日)、11(月)の7日間

【料金】

一般・シニア   1,800円
25歳以下      1,300円
18歳以下      500円
早期夜割     1,300円
同作品リピート割 1,000円
福祉手帳割(同伴者1名まで割引適用)1,000円

【上映時間】

81分(1時間21分)

【公式サイト】

https://kareha-movie.com/