2025年の年末まで台湾映画をつづけてお届けするジグシアター。
11月末の3日間、11/28(金)、29(土)、30(日)は
空族最新作・富田克也監督『潜行一千里 ILHA FORMOSA』を上映します。
11/29(土)には富田監督をオンラインでお招きして、台湾についてのトークイベントも開催予定!
詳細とタイムスケジュール、予約フォームについては今しばらくお待ちください。
[Official introduction]
新作映画の撮影の為、台湾に潜入した空族 ストリートを彷徨い、
音楽を掘るうちに、 たどり着いたのは原住民たちの住む村だった―
『サウダーヂ』(2011)『バンコクナイツ』(2016)など独自の路線で、映画界の裏街道をひた走る映 像制作集団「空族」。彼らの映画の最大の特色は徹底したリサーチにある。映画の舞台となる場所 を、とにかく歩きそこに住む人々と交流を深める。そして、現地の人々、歴史、そして現在を知る ところから映画が始まる。『バンコクナイツ』ではタイ、ラオスで撮影されたが、今回の新作映画 (2026 年撮影予定)の舞台となるのは麗しの島、台湾。2020 年以降、コロナ渦の最中に空族は台湾 に幾たびも飛びリサーチを続けてきた。『潜行一千里 ILHA FORMOSA』は、そのリサーチの過程を記 録したドキュメンタリーだ。 ストリートに流れる音楽に導かれるように、彼らは台湾原住民たちの住む村に向かっていく。アミ 族の住む花蓮県タパロン部落。そこから3000メートル級の中央山脈を越えて辿り着いたセデッ ク族の部落。そして台湾の最南端に位置するパイワン族の村まで。失われつつある原住民の言葉で ラップし始める若者たち、原住民の伝統音楽を現代にアップデートして新しい音を生み出そうとす るアーティストたち。空族は旅の過程で出会った人々と交流を深めながら、日本も含めた様々な国 からの侵略の歴史をも知ることになる。 しかし、過去の歴史をはねのけるように人々は活き活きと踊り、歌い、笑う。フィナーレは毎年タ パロンで行われるアミ族最大の豊年祭だ。艶やかな原住民の衣装を纏った人々は三日三晩踊り続け る。台湾の過去と現在、そして未来。時空を超え、ただ私たちはその祝祭に身を委ねるのだ。
[Production Note]
この映画のはじまりは空族の前作『典座-TENZO-』(2019)をカンヌ映画祭やマルセイユ映画祭に出 品した時に知り合ったフランス在住の台湾人プロデューサー、Vincent Wang(ツァイ・ミンリャン、 ワン・ビン作品などをプロデュース)に「お前ら、台湾で映画を撮らないか?」と声をかけられた のがきっかけでした。これまでタイ、ラオス、フィリピンなどアジアで映画を製作してきた空族に とって台湾は親しい友人がいる国ではありましたがカメラを持って撮影したことはない“いちばん 近くて遠い国”でもありました。これは千載一遇のチャンス!と、2020年に私たちはまずは台 南市に住んでいる友人たちを訪ね、そこを足掛かりに台湾で映画を作るためのリサーチを開始しま した。これまで空族は劇映画を製作する前段階のリサーチや旅の道程を『潜行一千里』と称してド キュメンタリー作品として発表してきました。それは所謂メイキングと呼ばれるような劇映画のた めの記録というよりも、映画製作の準備過程でそれらの国々で学んだ文化や人々の生活、哲学など 劇映画では描ききれない部分をドキュメンタリーによって補い、伝えたいとの想いがあったからで す。
台湾と言えば私たちには一般的に、大陸との緊張関係に常にさらされている“もうひとつの中国” という中華圏のイメージが強いのですが、原住民の部落に入るとそこには、かつてはオランダ、次 に中国大陸、そして日本も含めて数々の強国からの植民地政策を経て、逆にそれらの異文化を取り 入れながらも自らの部族とアイデンティティを守り続けている現在の原住民の人々がいました。そ の原色に彩られた姿は私たちの持っていた中華圏である台湾のイメージを一新し、西洋と東洋の 様々な文化の異なる移民たちと、もともと住んでいた原住民たちが長い時間をかけて共に台湾とい う小さな島でお互いに“共和”の道を模索し歩んでいる姿が浮かび上がってきたのです。 このドキュメンタリーの中で台湾のラッパー、大支(ダーギー)が「台湾の特徴とはさまざまな文 化や音楽が融合するところ。そう、メルティングポットなんだ」と語っていますが、特に2020 年代から原住民の若者たちが自分たちのルーツミュージックを様々なジャンルの音楽とミックス させて台湾独自の新しい音楽を創り出しています。そこから何が生まれ出づるのか?まさにこの現 在進行形の台湾の姿を観ることはグローバル化、移民の時代を生きる私たち日本人にとっても大き なヒントになることだと考えています。
空族(富田克也・相澤虎之助)
【上映期間】
11/28(金)、29(土)、30(日)の3日間
【料金】
一般・シニア 1,800円
25歳以下 1,300円
18歳以下 500円
同作品リピート割 1,000円
福祉手帳割(介助者1名まで割引適用)1,000円
【上映時間】
79分(1時間19分)









