12/3(土)〜9(金)に「現代アートハウス入門」がやってきます!!
テーマはずばり「ドキュメンタリーの誘惑」!

そもそもドキュメンタリーとはなんなのでしょうか?
ドキュメンタリーは事実だと思うことも、フィクションは創作だと思うことも簡単です。
「ドキュメンタリーとは?フィクションとは?」という問いは、実はすべての映画の根底にある揺らぎなのではないかと思います。この揺らぎは意識的にも無意識的にも見過ごされやすく、だけど「ドキュメンタリーの誘惑」はその揺らぎを捉えて離しません。観た人の今後の映画の見方を揺るがしかねない野蛮な特集、それが「現代アートハウス入門」です。(実際に私も去年の「現代アートハウス入門」を観てから映画の見方がだいぶ変わり、ガイドとして役立っています)

そんな特集のガイド役として、深田晃司さん(映画監督)、佐々木友輔さん(映画監督)、モリテツヤさん(汽水空港)にジグシアターにお越しいただき、上映後にスペシャルトークイベントを開催します!(参加無料!)

ちなみに、去年は全国24館同時開催でしたが、今年は5館のみの巡回。最初にお声がけいただいた時は、この5館によくジグシアターを選んでくれたものだと驚きましたが、「現代アートハウス入門」のラインナップを見ているとどこか納得もできてしまう、いろんなところを揺るがしてくる「現代アートハウス入門」なのです。

観客の皆さま、ぜひとも一緒に揺るがされましょう!!

料金は30歳以下は1,200円、一般1,500円。
予約フォームは11/21ごろにオープンしますので、今しばらくお待ちください〜

 


 

[Official introduction]

1970年代から今日まで続く日本の〈アートハウス〉は、ミニシアターという呼称で親しまれてきました。そこは世界中の映画と刺激をもとめる観客とが出会う場所であり、多様な映画体験によって、未来の映画作家だけでなく、さまざまなアーティストを育む文化的ビオトープとしての役割を担ってきました。〈アートハウス〉の暗闇でスクリーンが反射する光を浴びることは、多かれ少なかれ―私たちの生き方を変えてしまう体験なのです。

「現代アートハウス入門」は、〈アートハウス〉に新しい観客を呼び込むため、コロナ禍真っ只中の2021年にはじまった施策です。その第三弾となる巡回上映「現代アートハウス入門 ドキュメンタリーの誘惑」では“ドキュメンタリーと呼ばれる方法で作られた映画”にフォーカスします。

まず、18名の気鋭の映画作家に次のようなアンケートに協力していただきました。

Q1 若く新しい観客に映画の魅力を伝えるために5本の“ドキュメンタリー映画”を観せるとしたら、どんな作品をセレクトしますか?

Q2 その理由を800文字から1,200文字程度でお書きください。

アンケートの回答を公式WEBサイトで発表し、さらに名前のあがった作品群から選りすぐりの7本によるプログラムを組み、東京・ユーロスペースをはじめとした全国の〈アートハウス〉で巡回上映を実施します。

ネオクラシックと言いうる傑作から、果てはモキュメンタリーまで。ぜひこの機会に“ドキュメンタリー”の多様な方法と視点の面白さをご堪能ください。

 


 

ルイジアナ物語(原題:Louisiana Story)

監督:ロバート・フラハティ|1948年|アメリカ|78分

ルイジアナの広大な湿地帯で両親と暮らす少年アレクサンダー。自然と野生動物に囲まれた生活は、父親が油田掘削の許可書にサインしたことで大きく変わっていく…。『極北のナヌーク』『モアナ』などで知られるロバート・フラハティ監督による物語映画として世界映画史にその名を刻む本作だが、もとは石油会社のPR映画だった。野生のワニやアライグマなど“ドキュメンタリーバリュー”もたっぷり。

 


 

人間ピラミッド(原題:La Pyramide Humaine)

監督:ジャン・ルーシュ|1961年|フランス|90分

舞台はコートジボワールのアビジャン。地元の高校生の人種差別問題に気づいた映像人類学者のジャン・ルーシュは、この問題を主題に16ミリ映画を撮ることを思いつく。生徒たちは黒人と白人の間の新たな関係を通して生まれる友情関係、愛情関係についての「フィクション」に自分自身の役を演じながら参加するのだが…。エリック・ロメールやジャン=リュック・ゴダールも絶賛したルーシュの代表作の1本。

 


 

1000年刻みの日時計 牧野村物語

監督:小川紳介|1986年|日本|222分

三里塚から山形・牧野へ移住し、田畑を耕しながら映画制作を続けた小川プロの13年の集大成。稲の生殖の営みや水田のなかの考古物の発掘など科学的アプローチに加え、村に何世代にもわたって語り継がれる口承の物語を、土方巽、宮下順子、田村高廣ら職業俳優とともに、牧野村の人びとが“ドラマ”として演じてみせる。1000年という歴史と牧野の風土が編みこまれた、映画史上類を見ない傑作。

 


 

セザンヌ(原題:Cézanne)

監督:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ|1989年|フランス|50分

詩人ジョアシャン・ガスケによる評伝「セザンヌ」に記された空想的な対話の朗読に重ねて、セザンヌゆかりの土地やセザンヌの絵画が映し出される。実物の絵画を直接撮影している点では記録映画であり、ガスケによって虚構化されたセザンヌという人物の言葉を劇的に再虚構化している点では劇映画にも近い。ポール・セザンヌの過激な絵画観に、過激な映画作家ストローブ=ユイレが肉迫する。

 


 

書かれた顔(原題:The Written Face)

監督:ダニエル・シュミット|1995年|スイス、日本|89分

4Kレストア版歌舞伎界で当代一の人気を誇る女形、坂東玉三郎。「鷺娘」「積恋雪関扉」といった舞台や、芸者に扮した彼を2人の男が奪い合う劇「黄昏芸者情話」が挿入され、玉三郎の秘密へと観る者を誘う。俳優の杉村春子や日本舞踊の武原はんの談話、現代舞踏家の大野一雄の舞いなども。現実と虚構さえもすり抜けていくシュミットのスイス・日本合作となった本作では、青山真治が助監督を務めた。

 


 

SELF AND OTHERS

監督:佐藤真|2000年|日本|53分

1983年に36歳で夭逝した写真家、牛腸茂雄。郷里の新潟、ときに死の不安に苛まれながら写真家生活を営んだ東京のアパートなどゆかりの地を巡り、彼が遺した痕跡を辿る。被写体の眼差しを焼き付けたようなポートレート、姉に宛てた手紙、そして、見つけ出されたカセットテープ。しだいに彼の不在そのものがかたどられていく。撮影に田村正毅、録音に菊池信之が参加。手紙の朗読を西島秀俊が務めた。

 


 

物語る私たち(原題:Stories We Tell)

監督:サラ・ポーリー|2012年|カナダ|108分

太陽みたいに明るく無邪気だった母ダイアン。彼女が亡くなったとき、末っ子のサラはまだ11歳だった。「サラだけがパパに似てない」、ポーリー家おきまりのジョークにサラは少し不安になる。母の人生の真実を探り出そうとカメラを向けると、みんなの口からあふれ出したのは彼女の知られざる恋について——。俳優で映画監督のサラ・ポーリーが、自身の出生の秘密をウィットとユーモアをこめて描く。

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【上映期間】

2022/12/3(土) ー 12/9日(金)の7日間

【上映料金】

一般 1,500円
30歳以下 1,300円