『逃げた女』というまるでサスペンスドラマのようなタイトルのこの作品は、実際に観る人をサスペンス(宙吊りに)する。(サスペンスの語源はサスペンド、つまり宙吊りからきている。サスペンダーを思い浮かべてもらえれば)

女性たちの何気ない日常の会話劇が進むにつれて、頭の中で次第に謎が浮かんでくる。たくさんのたわいもないお喋りは肝心なことを何ひとつ言っていないようで、そこから滲む無限の可能性について私たちは日常生活でよく出くわしている。昼間友人とお茶して話したその日の夜に、ああ、今日はあのことについては喋らなかったな、あれ、あの言葉はもしかしてこういう意味だったのかもしれない、という風に。そもそも逃げた女とは誰なのか?逃げたというのはどういうことなのか?そして、あらゆる細部が巧妙な構成物であることに気づく。

jig theaterのこけら落としにして、いきなり映画世界の最先端をかける!これはヤバい映画体験だ!めっちゃ見てほしい。大大大推薦!


 

[Official introduction]
ホン・サンス作品の代名詞ともいえる長回しや奇妙なズームアップの演出が、一見たわいない会話、登場人物の気まぐれな行動を通して、愛や結婚、さらには人間や人生の本質をユーモアと詩情豊かに描き出していく。果たして「逃げた女」とは誰のことなのか、そして、彼女は一体何から逃げたのか――。

ポン・ジュノ監督作『パラサイト 半地下の家族』(19)が米アカデミー賞作品賞に輝き、キム・ボラ監督の長編デビュー作『はちどり』(18)がコロナ禍の日本でスマッシュ・ヒットを記録。娯楽映画からアートハウス系の作品まで質量共に充実し、世界的に注目を集める韓国映画において、ひときわ特異な存在感を放ち続ける映画作家、ホン・サンス。24作目となる新作『逃げた女』は、第70回ベルリン国際映画祭で初の銀熊賞(監督賞)を受賞、2020年カイエ・デュ・シネマが選ぶベストテン2位に輝いた注目作だ。監督の公私のパートナーであり、パク・チャヌク監督作『お嬢さん』(16)でも鮮烈な印象を残した女優キム・ミニ(ニューヨーク・タイムズ紙が選ぶ「21世紀最高の俳優25人」にソン・ガンホと共に選出)との7度目のタッグ作であり、監督作品の常連俳優のソ・ヨンファ、クォン・ヘヒョ、『はちどり』のユジン先生を演じたキム・セビョクなど実力派が顔を揃えた。猫の名演技にもご注目!

[Story]
ガミは、5年間の結婚生活で一度も離れたことのなかった夫の出張中に、ソウル郊外の3人の女友だちを訪ねる。バツイチで面倒見のいい先輩ヨンスン、気楽な独身生活を謳歌する先輩スヨン、そして偶然再会した旧友ウジン。行く先々で、「愛する人とは何があっても一緒にいるべき」という夫の言葉を執拗に繰り返すガミ。穏やかで親密な会話の中に隠された女たちの本心と、それをかき乱す男たちの出現を通して、ガミの中で少しずつ何かが変わり始めていく。

監督・脚本・編集・音楽:ホン・サンス
出演:キム・ミニ、ソ・ヨンファ、ソン・ソンミ、キム・セビョク、イ・ユンミ、クォン・ヘヒョ、シン・ソクホ、ハ・ソングク
原題:도망친 여자 英題:The Woman Who Ran 字幕:根本理恵
配給:ミモザフィルムズ
2020年/韓国/韓国語/77分/カラー/ビスタ/5.1ch

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【上映期間】

2021年7月15日ー17日(日)

【料金】

一般 1,800円
シニア・大学生 1,500円
高校生以下 1,000円

【上映時間】

77分(1時間17分)
各回30分前に開場します

【公式サイト】

https://nigetaonna-movie.com/