4/3(金)から20(月)まで、ヨアキム・トリアー監督『センチメンタル・バリュー』+初期2作品を上映します。愛着を感じるかけがえのないものが、それぞれの胸に残りますように。

『センチメンタル・バリュー』は父と娘の話であり、映画監督と俳優の話でもある。または姉と妹、母と息子、騒音と沈黙、過去と未来。何世代にもわたって家族を見つめてきた家の物語であり、それらが絡み合った複層的な物語でもあります。
”sentimental value”は、金額には換算できない感情の価値を指します。愛着や記憶、なぜか手放せないもの。ノルウェー語の原題 “Affeksjonsverdi” には、理屈では説明しきれないまま残り続けてしまうもの、というより重たい響きがあります。情がこびりつき手放せなくなったものたち。それは、やがて「帰る場所」になり得たはず。

そういえば、ヨアキム・トリアー監督はかつてスケートボードのノルウェーチャンピオンだったそう。この事実から彼の多才さを語ることもできますが、大事なのは、彼には「別の人生の可能性」もあったということ。選ばなかった人生、偶然の積み重ねでしかない現在への違和感。一度想起してしまったがゆえに、愛着があって割り切れず、業のように成し遂げたいものたち。それらが、あやうい均衡のなかで絡み合っていきます。それらをほどくことはできないまま、私たちはその只中に立ち尽くすことになります。

「優しさこそが新しいパンクだ」とヨアキム・トリアーは語っています。優しさとはなんだろう。絡まりきった糸をほどくことはできないし、憎らしく、認められないことだってたくさんある。簡単には変えられないことばかりが、目の前に積もっていく。それでも、その絡まりのなかで、相手を見ようとすること。
トリアーの優しさは、帰る場所を用意することではなく、その可能性だけをそっと差し出すことなのかもしれません。否定や拒絶や攻撃であふれる世界のなかで、その態度を選び続けること。それこそが、一番パンクな在り方なのかもしれません。
春のひとときに、この映画と出会っていただけたらうれしいです。

 


 

[Official introduction]
第78回 カンヌ国際映画祭〈グランプリ〉受賞!
ヨアキム・トリアー監督が描く、あまりにこじれた父娘に世界が絶賛&共感!

2025年、第78回カンヌ国際映画祭で本映画祭最長19分間に及ぶ圧巻のスタンディングオベーションで会場を沸かせ、最大の熱狂を巻き起こし、堂々のグランプリ受賞。本年度アカデミー賞®フロントランナーとの呼び声も高い話題作がついに公開される本作を手掛けたのは、第94回アカデミー賞®で脚本賞・国際長編映画賞の2部門にノミネートされ、日本でも大ヒットを記録した『わたしは最悪。』のヨアキム・トリアー。同作で恋愛と人生の選択を、リアルに、共感たっぷりに描いた監督が次なるテーマに選んだのは、愛憎入り混じる「親子」という名のしがらみ。
主演には再びレナーテ・レインスヴェを迎え、映画監督の父親役には名優ステラン・スカルスガルドさらに、本作の演技で脚光を浴びるインガ・イブスドッテル・リッレオースに加え、ハリウッドからエル・ファニングも参加。複雑かつ緊張感に満ちた人間模様を浮かび上がらせる。
あまりに不器用な「不完全な父娘」に共感し、たどり着く結末に世界が唸った家族ドラマの到達点。きっとあなたの“代えがたい”1本になる。

[Story]
オスロで俳優として活躍するノーラと、家庭を選び息子と夫と穏やかに暮らす妹アグネス。そこへ幼い頃に幼い頃に家族を捨てて以来、長らく音信不通だった映画監督の父グスタヴが現れる。自身15年ぶりの復帰作となる新作映画の主演をノーラに打診するためだった。怒りと失望を未だ抱えるノーラは、その申し出をきっぱりと拒絶する。ほどなくして代役にはアメリカの人気若手スター・レイチェルが抜擢。さらに撮影場所がかつて家族で暮らしていた思い出の実家であることを知り、ノーラの心に再び抑えきれない感情が芽生えていく―。

監督:ヨアキム・トリアー『わたしは最悪。』
脚本:ヨアキム・トリアー、エスキル・フォクト
出演:レナーテ・レインスヴェ、ステラン・スカルスガルド、インガ・イブスドッテル・リッレオース、エル・ファニング

英題:SENTIMENTAL VALUE/2025年/ノルウェー/カラー/ビスタ/5.1ch/133 分字幕翻訳:吉川美奈子映倫区分:G

© 2025 MER FILM / EYE EYE PICTURES / LUMEN / MK PRODUCTIONS /  ZENTROPA ENTERTAINMENTS5 APS / ZENTROPA SWEDEN AB / KOMPLIZEN FILM /  BRITISH BROADCASTING CORPORATION / ARTE FRANCE CINÉMA / FILM I VÄST  / OSLO FILM FUND / MEDIEFONDET ZEFYR / ZDF / ARTE

配給:ギャガ NOROSHI A GAGA LABEL

 


 

『リプライズ』

若さの疾走と挫折の瞬間がリプライズする衝撃デビュー作 作家を志す二人の青年エリックとフィリップ。成功と失敗、友情とすれ違い、希望と絶望。人生の“リプライズ=反復/再演”を複層的な語りで描き出した、ヨアキム・トリアーの長編デビュー作にして、後の作風がすでに結晶した青春映画。のちにトリアーが「オスロ三部作」全作品や最新作『センチメンタル・バリュー』までタッグを組み続け、オリヴィエ・アサイヤスやミカエル・アース、ミア・ハンセン=ラブといった監督の作品に出演する名優アンデルシュ・ダニエルセン・リー初の本格的な映画出演作。

2006年/ノルウェー/106分/R15+ © Spillefilmkompaniet 4 1/2

監督:ヨアキム・トリアー
製作:カーリン・ユルスル
脚本:エスキル・フォクト、ヨアキム・トリアー
撮影:ヤコブ・イーレ
音楽:オーラ・フロッタム
出演:アンデルシュ・ダニエルセン・リー、エスペン・クロウマン=ホイネル、ヴィクトリア・ヴィンゲ、オッド=マグヌス・ウィリアムソン
提供:JAIHO/配給:グッチーズ・フリースクール

 


 

『オスロ、8月31日』

人生の縁に立つ孤独な男の魂の彷徨 薬物依存症からの回復施設にいるアンデシュは、面接のために一日だけ街へ戻る許可を得る。過去の友人や恋人と再会しながら、自らの人生の空白と向き合う彼は、“取り返しのつかない決定的な一日”を静かに過ごすことになる。 ドリュ・ラ・ロシェル『ゆらめく炎』の精神を現代に移した傑作。その後トリアーの『わたしは最悪。』『センチメンタル・バリュー』の主演で圧倒的な輝きを見せることとなるレナーテ・レインスヴェが映画デビューを果たす。

2011年/ノルウェー、スウェーデン、デンマーク/94分/PG12 © Motlys AS / Norway

監督:ヨアキム・トリアー
製作:ハンス=ヨルゲン・オスネス、ジグべ・エンドレセン
脚本:エスキル・フォクト、ヨアキム・トリアー
撮影:ヤコブ・イーレ
音楽:オーラ・フロッタム
出演:アンデルシュ・ダニエルセン・リー、ハンス・オラフ・ブレンネル、マリン・クレピン、イングリッド・オラワ、ヨハンナ・ヒェルヴィック・レダン、レナーテ・レインスヴェ
提供:JAIHO/配給:グッチーズ・フリースクール

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【上映期間】

4/3(金)、4(土)、5(日)、8(水)、11(土)、12(日)、18(土)、19(日)、20(月)の9日間

【料金】

一般・シニア   1,800円
25歳以下      1,300円
18歳以下      500円
同作品リピート割 1,000円
福祉手帳割(介助者1名まで割引適用)1,000円

【上映時間】

センチメンタル・バリュー
133分(2時間13分)

リプライズ
106分(1時間46分)

オスロ、8月31日
95分(1時間35分)