2021年にジグシアターが企画したシネマエポックでの「〇〇と映画」で、毎回素晴らしい解説を披露してくださった佐々木友輔さんは、数々の素晴らしい作品を制作されている映像作家でもあります。jig theaterを作る前、まだ鳥取に引っ越してくる前に、オンラインの映画祭で佐々木友輔さんの『コールヒストリー』を観て以来、上映機会があるごとに近隣の友人に必ずメールをして勧めてきました。そして観てくれた友人はみな、この作品にやられてしまっています。jig theaterの1周年記念に、満を辞して『コールヒストリー』をかけることにしました。おそらくこの作品を観た時の「戸惑い」が、私たちが最も届けたい、案内したい戸惑いの一つなのではないかと思っています。
[Introduction]
2016年から鳥取に拠点を移し、鳥取大学の教壇に立ちながら制作を続ける佐々木友輔は、映画・ドキュメンタリーの制作から執筆や展覧会企画まで幅広く活躍しています。恵比寿映像祭やロッテルダム国際映画祭で上映されるなど国内外で高く評価され、注目を集めています。
2019年に制作された『コールヒストリー』は、郊外の風景と語り手の声が互いの独自性を保ちつつ、次第に交差し響きあうように物語を紡いでいきます。そしてある種の青春映画のように、登場人物が苦みを味わい少しだけ成長する物語でもあります。
他者と向き合うためにどうすればいいのか、きっと愛とか誠実さだけでは足りない。武装したままでは、何かを 伝えることも受け取ることもできない。人がちゃんと見たり聞いたりする時には、自分の何かが揺れ、自分が変わってしまうかもしれないと“戸惑い”を覚えるのではないでしょうか。
あらゆるコミュニケーションにかかわる「聞くこと」「受け取ること」の難しさを思考する映画であり、映画の概念を拡張するような 実験的な形式を持ちつつも胸がギュッとなるとびきり稀有な傑作をお届けします。
[Story]
福島県の一帯に〈声〉と呼ばれる都市伝説がある。 ふとした時、知らない誰かに声をかけられ、他愛もない 会話をする。話しているあいだは気づかないが、後になってからはたと気づく。「さっきまで話していた人はヒトではなかった。私はいま〈声〉を聞いたのだ」と……。 幼い頃に体験した〈声〉に魅了され、三度目を聞くための手がかりを探し求める「彼」と、その探索に付き合ってきた「私の関係は、〈声〉に関心をもつ「美術家」の来訪をきっかけにして、少しずつ、だが決定的に変化していく。三者の心象風景を語る朗読音声と、彼らが見たであろう風景映像の重ね合わせによって佐々木友輔監督が描き出す、21世紀の風景論映画。
題名:コールヒストリー
制作・撮影・編集:佐々木友輔/脚本:佐々木友輔、菊地裕貴/朗読:菊地裕貴/音楽:田中文久
主題歌「モノローグ」/作詞:菊地裕貴/作曲:田中文久/歌:角銅真実/ヴァイオリン:秋山利奈
89分/デジタル/2019年
【上映期間】
2022/7/16(土) 17(日) 18(月・祝) 22(金) 23(土) 24(日) 25(月) 7日間
【トークイベント】
7/24(日)
15:00–17:00
佐々木友輔監督をお迎えし、jig theaterの柴田修兵がお話をお聞きします
【料金】
一般・シニア 1,800円
25歳以下 1,300円
高校生以下 1,000円
★レイトショー 1,300円
※レイトショーは7.16(土)と7.18(月)の最終上映
【上映時間】
89分(1時間29分)
各回30分前に開場します